クローバーの起こしたキセキ





海原君とりぼんの姿がまた光に包まれた。
そして今度は現れた時と逆にどんどん崩れて行く。
私は光を集めるけどその光は無情にも散って言ってしまう。




「辰也、まだ行かないで、ここにいて・・・・・!りぼんも一緒にここにいよ・・・・・?」




必死にそう言うけど、崩れて行くのは止まらないし、海原君もりぼんもなにも言わない。
また泣きそうになる私は、必死に二人の手をぎゅっと握りしめた。
一緒にいられないなら、最後くらい、笑顔で・・・・・。




「麻美のバカ。
それじゃ余計に逝きにくい」




辰也はそう言うけど、もう会えないんだよ・・・・・・。
私は、寂しくて寂しくてたまらないのに・・・・・・。




「だから、これで許してな?次、また生まれ変わったら、また会おう。
・・・・・・ばいばい」




チュッとリップ音がして私の唇のそっと触れる。
・・・・・私、今なら笑顔でさようなら言えるよ。




「ばいばい、辰也、りぼーんっ。
もう、泣かないからね〜!」




☆*:.。. oo .。.:*☆☆*:.。. oo .。.:*☆☆*:.。. oo .。.:*☆




夢から覚めた。
ふと、カメラを確認してみる。
そこには、辰也の輝くような笑顔と、キスをされた直後の私のポカンとした表情が写っていた。




「もうっ、最後までこんなんなんだから・・・・・」




涙を一筋流しながら呟いた。
クローバーが、私たちを会わせてくれたんだ。
何億人も居るこのこの世界で私たちが出会えたのは、キセキにも等しい。
そう、キセキ。




「クローバーの・・・・・、起こしたキセキ・・・・・」






〜fin〜






< 198 / 199 >

この作品をシェア

pagetop