クローバーの起こしたキセキ





まるで試すような口ぶりで話す看護師さん。
その真面目な表情を見れば、よくないことを告げられることなんて、一目みてわかる。
私は聞く準備、もとい覚悟はできている。
でもお母さんがきいても大丈夫かどうかが・・・・・。




私は、さっきのお母さんを思い出す。
もしきいてしまったら修復不可能なほどに壊れてしまうんじゃないかと不安で、言い出せなかった。





「・・・・・お願いします、おっしゃってもらって結構です」




だから、そう隣から声が聞こえて来たのには驚いた。
大丈夫ですかと無言で視線を向けると、ちらっとこっちを向いて頷いた。




「お願いします、どんな事実でも、受け入れられる覚悟はあります・・・・・!」




看護師さんは私たちの覚悟を確認し、ためらうような表情をまったく見せずにたんたんと話した。




「海原辰也君は、もう、余命2ヶ月です。
今までも少し容態が悪かったのですが、昨日倒れたことがきっかけで一気に悪い方向へ向かってしまいました。
・・・・・本人に伝えるかどうかは、あなたたちが決めてください。
では失礼します」





あぁ、倒れたってきいた時から、よくないことだって思ってた。
そして、予感もしてた。
海原君はもう、元の日常には戻れないかもしれないって。
必死で祈っていた。
この予感が外れてしまいますようにって。
海原君の命が続くのはあと2ヶ月・・・・・。





「お母さん・・・・・。
海原君に、伝えるんですか・・・・・」








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