センセイの白衣
だから。

次の日に私は、こっそり川上先生に話しておいた。

実を言うと、委員長も生物選択で。

その彼が、自習のときのおしゃべりを主導していたから。

特に気に食わなくて。


先生に言う、なんて小学生か、って思うけど。

私の力ではどうすることもできなかったから。



すると、その日の授業で。

川上先生は、みんなを怒ってくれたんだ。

怒ったところ、一度も見たことのない川上先生。

そんな川上先生が、穏やかな口調で、でも、毅然とした態度で皆を戒めた。


最初は笑っていたみんなだったけど、川上先生が真剣に話すうちに、静かになった。

川上先生は、言葉を選びながら、一生懸命怒ってくれたね。

そんな先生が、愛おしくてたまらなかった。



授業が終わってから、こっそりと先生のところに行った。



「先生、ありがとうございました。」


「え?」



聞こえない、というふうに、先生はわざと聞き返す。



「ありがとうございましたっ!!」



もう一度大きな声で言うと、先生は晴れ晴れと笑った。

いつだって、私のことを守ってくれた先生。

先生は、高校時代だけじゃなくて、今も。


スーパースター、だよ。
< 109 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop