女達の戯言
「もう見てるじゃない?」



少し妖艶に笑う女


「あ、ああ……凄いね」


女の手元には
アイスコーヒーに
ついてきた
ストローの袋があった


「私ね、とにかく結びたいのよ。
色んな物を。例えばこれ、とか?」



言いながらも
女は器用に
ストローの袋を結んでいく


男はただ
じっとその手元に
集中していた


細くスッと伸びた
しなやかな指先で
まるで生きている蛇の様に
それを操り
ループを作ってはくぐらせ
またループを作っては
次々と結び目を作っていく女


あまりにも綺麗な一連の流れに


男はいつしか
目の前の女に
我が身を結んで貰いたい
とさえ思い始めていた


全くもって
愚かな考えであった


しかし男はーーー


「俺、結ばれたい……」


男が無意識に抱いた願望を
言葉にして出していた






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