風花


「ああ。そういう意味なんだ。それならここから電車で30分くらい行った所にあるよ。何?お買い物?」
「ああ。そろそろ色々買い足さなきゃいけなくてな」


この前の舞歌の一喝が効いたのか、二週間経ち質問のネタが切れたのか。ようやく俺は、質問責めから解放され、落ち着いた毎日を過ごせるようになった。

よかった、と胸を撫で下ろしながら昨夜家で家事をしていると、洗濯洗剤やシャンプー等の消耗品の残量が心もとないことに気付いた。
今まで気付かないことがおかしいと思うくらいに減った状態で、初めて。

人は慌ただしく過ごしていると周りが見えず、心に余裕が生まれると、自然と周りが見れるようになっていくものだ。
どうやらそれは俺も例外ではなかったらしく、自分ではしっかりしていると思っていても、周りをきちんと把握することが出来ていなかったらしい。
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