風花


「まさか、お前を使うことになるなんてな…」


約束の土曜日。朝と昼との間の時間。
俺は自室であるものを手に取り、感慨にふけっていた。

それは東京にいた頃、あいつの為に買ったもの。使う機会はそれほどなく、新品同然の状態ではあるのだけれど、それでも、様々な思い出が残っていた。

あいつと別れて、こっちに引っ越す準備をしている時に捨てようかどうしようか迷った。
けど、『勿体ないし、使う機会があるかもしれない』、そういう名目のもと手放せずにいた。
多分、俺はどこかであいつとの繋がりを求めていたのだろう。あいつが俺のことをどう思っていたのを理解したとしても。


「まあ…。俺は本気だったからな…」
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