Sweet*Princess



2年前━━━



俺の生活はヤバイくらいに荒れていた。


酒もタバコもしなかったし、警察沙汰になるようなことはしなかったけど。
……一応、両親のことは尊敬していたからな。



麻生家の子どもは皆、二十歳で結婚しなければならない。


それに対する焦りもあった。



俺はいろんな女を抱いては捨て、抱いては捨て


それを繰り返していた。



……本当の恋が、したかったんだ。


史斗は悲しいけれど、純粋な恋をした。


壱斗は事故で助けた女の子に恋してるらしいし。


明斗は大好きな陽菜ちゃんに意地悪してるみたいだし。



兄弟の中で、本気の恋をしていないのは俺だけだった。


だから、知りたかったんだ。


みんなが溺れる、『本気の恋』を。









「ねぇ、雅斗。次はいつ会えるの?」


さっきまで俺の下で喘いでいた女が言う。


もう会うつもりねーんだけど。



「また偶然どこかで会えたら……運命だよね?」


ニコッと微笑むと、女は顔を赤くした。


……会うわけねーじゃん。


この街に人が何人いると思ってんだよ。



「じゃーな」


服を着こんで、俺はホテルを出た。



*
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