Sweet*Princess
私はまた、荷物を持つと雅斗さんの部屋を出た。
史斗さんと明斗くんには何も言わずに出てきちゃったな。
いろいろ、支えてもらったのに。
二人には、広島に行ってからなにか送ろう。
お父さんとお母さん、空と陸がいる家に向かう。
昔はこの道を通って学校に行ってたな。
それから……、急に壱斗の婚約者になって
恋をした。
一生に一度の恋を。
私の片想いだって思ってたけど
壱斗は私をすごく大切にしてくれた。
『好きだよ』って言ってくれた。
いっぱい幸せにしてくれた。
それだけで充分だよ。
短い間だったけど、壱斗は私に夢を見せてくれた。
誰もが憧れる完璧な王子様
そんな壱斗が、私の傍にいてくれた。
ほんとに、幸せな夢だったよ……
きっとずっと忘れられない。
いつか違う誰かと恋をして
結婚して
子どもが生まれても
ずっと私の心に生き続ける、素敵な恋でした。
大好きでした……
*