Sweet*Princess



私はまた、荷物を持つと雅斗さんの部屋を出た。


史斗さんと明斗くんには何も言わずに出てきちゃったな。


いろいろ、支えてもらったのに。


二人には、広島に行ってからなにか送ろう。



お父さんとお母さん、空と陸がいる家に向かう。


昔はこの道を通って学校に行ってたな。


それから……、急に壱斗の婚約者になって


恋をした。


一生に一度の恋を。



私の片想いだって思ってたけど


壱斗は私をすごく大切にしてくれた。


『好きだよ』って言ってくれた。


いっぱい幸せにしてくれた。



それだけで充分だよ。


短い間だったけど、壱斗は私に夢を見せてくれた。



誰もが憧れる完璧な王子様


そんな壱斗が、私の傍にいてくれた。



ほんとに、幸せな夢だったよ……


きっとずっと忘れられない。


いつか違う誰かと恋をして


結婚して


子どもが生まれても



ずっと私の心に生き続ける、素敵な恋でした。




大好きでした……



*
< 223 / 231 >

この作品をシェア

pagetop