Sweet*Princess
「ねぇ、お姉ちゃん…?」
長い長い、とてつもなく長い廊下を歩いている途中。
ふと声をかけられ、辺りを見回すと小さな男の子が立っていた。
「どうしたの?」
元々子どもが好きな私は、しゃがみ込んで目線を合わせると、優しく尋ねた。
「おしっこしたいのに…、トイレの場所がわかんな…ッ…うぇぇ〜」
あ!泣き出しちゃった!
でも私もトイレの場所わかんないしなぁ……
「ねぇ、トイレどこ?連れて行ってあげなきゃ!」
右隣の人の腕を掴む。
すると彼は私を哀れな目で見て、深いため息をついた。
え?なんでため息?え?
「明斗様、からかうのはお止めなさい。このお方はお兄様の奥様になられる方ですよ?」
へ?からかう?お兄様?
「ハハハ♪あんたの顔すっげー傑作!この家に住んでる俺が、トイレの位置知らないわけないだろ!」
え?
あなた、誰ですか……?!
「明斗様!!」
「ハイハイ、うっせーなぁ、清水は」
そう言って、明斗様は去って行った。
「明斗様は、このお家の四男です。あぁやって猫かぶりのうまいお方です。お気をつけください」
猫かぶりって……、私騙されてたの?!
可愛い顔してなかなかやるわね、あの子……;
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