私は男を見る目がないらしい。
 

「…………あー、そっか……」


そういうことだったんだ。

朔太郎の目線の先には、一人の小柄の女の子。

私とは正反対のふわっとした笑顔の似合う子で、朔太郎の腕にしがみつくように腕を絡めていた。

そっか……朔太郎にはもう、新しい彼女がいるんだ。

……私と同じ“みお”という名前の彼女が。

だからもう私は用済みで、切り捨てられたんだ。

それが、私の前から消えた理由。

理由なんて簡単だったんだ。

すごくお似合いの二人の姿から私は何故か目を離すことができなくて、ぼーっと見つめる。

そして、ふと遠い記憶の中に、その女の子の姿を私は見つけてしまった。


「……!」


……そうだ。

あの子、高校の頃に朔太郎と一緒にご飯に行ってた子だ。

8年以上の月日と綺麗に施されたメイクで雰囲気は変わっているけど、朔太郎の家に遊びに行った時に家の前で何度か会ったあの無邪気なかわいい笑顔は殆ど変わってない。

……でも、それって、どういうこと?

 
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