私は男を見る目がないらしい。
 

「……うわ、いや、予想外すぎる……くくっ」

「……っ!」


私の目に写るのは、くすくすと可笑しそうに笑う……朔太郎。

この前見掛けたのと同じスーツ姿だ。

髪の毛も同じように整髪料で整えていて……私と過ごしていた日々と比べると、やっぱり別人に見えた。

待ってよ、何でここにいるの……?

ここ会社だよね?

なのに何で朔太郎が?

……いや、そもそも、本当に朔太郎……?

よく似た別人とか……これ、夢?え、現実?


「ていうか、すげぇ音したけど、頭大丈夫か?」

「……」

「美桜?聞こえてる?」


朔太郎が私の目の前まで歩いてきて、私の顔を覗きこみながら手を左右に振る。

その手の向こうには私がよく知る笑顔があった。

……これ、本当に朔太郎だ。

でも……


「……んで?」

「え?」

「何で、ここに……」

「あ。……こほん。自己紹介が遅れましたが、本日付けで営業部に配属された小西です。以後、お見知りおきを。」

「…………は?」

 
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