私は男を見る目がないらしい。
 

その優しい笑顔に無性にすがりつきたくなった。

心のトゲがポロポロと剥がれ落ちていく感覚に、胸が熱くなる。

泣きそうになるのを抑えて、口を開く。


「……長谷部さんってほんと優しいなー、もう」


えへらと笑うと。

長谷部さんがふと真面目な表情に変わった。


「……そんなの、相原さんにだけだよ」

「っ!」

「なんてね」


おどけたように言って、長谷部さんはぺろっと舌を出す。

そして、ちょっと照れたような表情でビールをあおった。

その表情は私の鼓動をどんどん高鳴らせていって、私の心を一気に引き込んでいく。

“私にだけ。”

……その言葉は私の心にずんと響く。


「それに……俺だってただの物欲しがりなガキだし」

「え?」

「今、すごく欲しいものがあるんだよね。もう、我慢できないくらいに、それが欲しいんだ」


長谷部さんの目線が私に真っ直ぐと向き、お互いに見つめ合う。

そして、私は問う。


「……何が、欲しいの?」

 
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