私は男を見る目がないらしい。

　

「俺と付き合ってくれないかな？」

「……っ」


核心を突く言葉を発せられた瞬間、私は身体で反応してしまう。

それに気付いた長谷部さんはやっぱり柔らかく笑ってくれて、優しく言ってくれる。


「……返事は今すぐじゃなくてもいいから。いつまででも待つ」

「……」

「ゆっくり……考えてもらっていいから」


私の気持ちをすごく考えてくれている言葉に、嬉しさが込み上げてくる。

この人となら、一緒にいてもきっとツラい思いはしないだろう。

だから。


「…………うん、考える、ね。」


ちゃんと長谷部さんとの未来を考えようと思った。


「！……ありがとう」


拒絶されなかったことだけで満足だったのか、長谷部さんはホッとした表情で笑った。

こんなに私を想ってくれて受け入れてくれて心を穏やかにしてくれる人なんて、この先現れない気がする。

何よりも、仕事のことも住んでる場所も彼女はいないことも。

長谷部さんのことをちゃんと教えてくれた。

話していても嘘をついたり隠し事をしたりする人とは思えなかった。

……今までとは違うって思えるんだ。

……嘘だらけの朔太郎とは違うって。


きっと、この恋はうまくいく。