私は男を見る目がないらしい。
 

突然お腹に回された朔太郎の腕。

後ろから包み込むようにして私を抱きしめてくる。

……やっぱり意味がわからない!

私はもう彼女じゃないっつーの!

私はその手から逃れようと、じたばたと身体を動かす。


「ちょっと!もうっ、離してよ!」

「嫌ー。」

「はぁ!?もう、ほんとにやめ」

「あー、やっと触れた。この前のエレベーターでもすっげぇ触れたかったけど、必死に我慢してたんだよな。……はぁ。ほんとに美桜なんだな……落ち着く」

「!?」

「……ほんと、柔らかくて抱き心地最高だし、たまんねぇ。離れてた分、余計にそう思える」


朔太郎は何を言ってるんだろう?

何で捨てた女に対してそんなこと言うの?

まるで、私のことを想っているかのような台詞を……っていやいや!

これも私をからかうための罠だ!絶対に!

私は今までのことを教訓として、気を緩めないようにする。

私はもう、騙されないんだから。本気にしちゃ、ダメ。

そう思うのに……

 
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