私は男を見る目がないらしい。
 

「痩せたのも驚いたけど、背も結構伸びたんだね?普通、高校卒業した後にそんなに伸びるものなの?やっぱり整形手術とかしたんじゃないの?」

「おい、美桜までそんなこと言うのかよ。ほんとに何もいじってねぇって。何か痩せると共ににょきにょきっと伸びたんだよ。俺も驚いた。あの頃は175くらいだったから……10センチまでは伸びてないけど、今は憧れてた180超えだぜ~」

「へぇ……。あ、前後左右にあった肉が縦に移動したってことね。うん、なるほど」


そういうこともあるんだな……。

人間の身体って不思議だ、と私は妙に納得した。

でも。


「……ぶはっ!何だよ、それっ」

「え、だって、そういうことでしょ?だって、私だって最近は重力に負けて胸からお腹にお肉下がってきてるし。……ってことは、朔太郎、上に伸びたんじゃなくて、足の裏に肉がついたってこと?人体シークレットブーツ的な?」

「くくくくくっ!ほんっと、美桜っておもしれぇな」

「は?何がおもしろいの」

「くくっ、あーやべぇ!笑い、止まんね……っくくっ」

「っ!!」


笑いのツボに入ったらしい朔太郎の手がぬっと私に伸びてきて、わしわしと荒く頭を撫でてくる。

何でそんなに笑うのか理解できないと私は思いながら、その撫で方は私の記憶の中にある朔太郎の撫で方と同じだなぁとぼんやり思っていた。

 
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