私は男を見る目がないらしい。
……でももう、信じることは怖くてできない。
だからもう、構って欲しくない。
なのに、朔太郎は私の気持ちなんてやっぱりわかってくれていないようで、その手が私の手を掴んできた。
「美桜」
「っ、やめてよ……っ」
「ちゃんと話すから聞いて。頼むから」
「……っ、やだっ」
「聞いて。俺が本当に好きなのは、他の誰でもない美桜だ。黙って出ていったことは悪いと思ってるけど、“信じていて欲しい”って言ったら頷いてくれたし、美桜ならちゃんと俺のことを信じて待っててくれると思ってたんだ。でもそれは俺の驕り(おごり)だったんだって、ただの自惚れだったんだって、年明けに美桜に会って気付いたんだけど」
「……なに、それ」
「去年、美桜から離れたのは俺のちっぽけなプライドからだった。美桜はちゃんと働いてんのに、俺はフラフラして情けねぇなって。もう1年くらいブラブラしてようと思ってたけど、仕事決めて胸張って美桜のそばにいたいと思うようになった。でも、このまま美桜と居たら絶対甘えるし、男として情けないし、頭冷やして少し離れようと思ったんだ。金を借りたのは、少しでも美桜の中に俺のことを残しておきたかったから。……これ」
そう言って朔太郎が胸元からコートの中に手を入れて、小さな封筒を取り出し、私の目の前に差し出してくる。
それは私が朔太郎に渡したものだった。
お金を貸す時にさすがにそのままだとリアルすぎて嫌だった私は、小さな封筒を用意し、それにお金を入れて朔太郎に渡したのだ。