私は男を見る目がないらしい。
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桜の蕾が綻び始める季節になった。
各地で続々と桜の開花宣言がされていることをテレビでよく耳にするようになって、もうすぐ春なんだなぁと感じ始める。
そんな春が近くなったある日、久しぶりに理子さんに誘われ、少しお洒落な居酒屋に二人で飲みに来ていた。
「お疲れさま!」と言いながらグラスをカチンとぶつけ、お互いにビールをくいっと飲む。
いつも通り「ぷはー!」の声が二人から発せられ、私たちは顔を見合わせて笑い合った。
2ヶ月以上ぶりの理子さんはストレートだったロングヘアにゆるパーマが掛かっていて、すごく色っぽくなっていた。
今までも色っぽい雰囲気を醸し出していたけどそれ以上に“出来る女!”という印象が強くて。
今はそれに、さらにセクシーさが増した感じがする。
「やっとタイミングが合ったわね。あたしの仕事が落ち着いたかと思えば、美桜が忙しいって言うでしょ?丸2ヶ月以上も美桜と飲めなくて寂しかったわ」
「ふふ、私もです」
理子さんの“寂しかった”という言葉に嬉しくなって、口元が緩んでしまう。
根っからの理子さんファンだから仕方のないことだと思うけど。
でも、そんな私を見た理子さんがふと真顔になり、首を傾げた。
「……やだ、美桜。何かあったの?」
「へ?何でですか?」
「何か雰囲気変わったから。少し大人っぽくなったっていうか、子供っぽさが抜けたというか。美桜って感情が表に出るから本当にわかりやすいわよね」
「……そんなことないです……と言いたいですけど、理子さんがそう言うなら残念ながらあるんでしょうね……。もう、理子さんには敵いません……。理子さんと会えなかった間、いろいろあって疲れ果てました」
どこかにカメラがあって、理子さんは私をいつも監視しているんじゃないか、と本気で思ってしまうくらいの千里眼だと思う。
まぁそれは大袈裟で、奥底に仕舞っているつもりでも、やっぱり私がわかりやすいんだと思うけど。