私は男を見る目がないらしい。
 

「……わかりました。そうします。じゃあ、美桜を連れて行きますね」

「どうぞ?美桜のことは、煮るなり焼くなりお好きなようにしてちょうだい」

「!理子さん、何言って……!」

「ほら、小西!美桜がきゃんきゃんうるさいから、早く連れて行きなさいよ」

「くくっ。すみません。わかりました。ほら、美桜行くよ」

「じゃあね~仲良くすんのよっ!」

「ありがとうございます」

「ちょ……、えっ!?」


朔太郎はくすりと笑った後、私の腕を掴み、ぐいっと引いて歩き出す。

その力は私が逃れられないくらい強くて、痛いくらいで。

背後に理子さんの視線を感じながらも、私の歩幅のことも考えてくれずにどんどん歩いていく朔太郎の腕をぶんぶんと振って、私は逃れようとする。


「……やだっ、離してよっ」

「離さない。理子先輩が作ってくれた機会を逃すつもりもないし、理子先輩の命令に逆らう勇気もさらさらないし」

「何それっ!意味わかんないし!ていうか、私は何も話すことなんてないから!手、離してよ!」

「ダメ。もう一生離さねぇって決めたから」

「は!?」

「お前は黙って俺について来ればいいんだよ」

「!!!」


何なのこいつ、えらそうに……!と思いながらも、その手はどんなに振っても離れてはくれず、私は朔太郎に引かれるままに後を着いていくしかなかった。

 
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