私は男を見る目がないらしい。

*真実はここにある 「強がりも嘘ももう必要ない」

 

**

「……。」

「何してんだよ。早く中入れよ」

「……朔太郎、まさかここに住んでんの?」

「駅近でいいだろ?郊外の美桜のマンションも快適だったし嫌いじゃねぇけどな」

「……」


朔太郎に連れられて来たのは、オフィスビルが立ち並ぶ立地にある、高層マンションの一室のドアの前。

朔太郎はドアを開け放って、私が中に入るのを促す。

4階で高層階よりもきっと家賃は低いだろうけど、それでも私が住んでいるマンションよりも絶対に家賃は高いと思う。

ついこの前まで家もないプーだったのに、何でこんなところに住めるの?

おかしくない?

そんなにうちの営業の給料って高いの?


「くくっ。美桜、ほんと考えてることが顔に出るよな。ちゃんと話すから、早く入れよ。こんなところに突っ立ってても寒いだけだし」

「……わ、わかったわよ」


確かに寒い、と思った私は、素直に朔太郎の言葉に従うことにした。

 
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