私は男を見る目がないらしい。
 

そんな顔、今まで見たことないんですけど……っ!

ただでさえ恥ずかしさで顔が熱かったのに、朔太郎のせいでさらに全身が熱くなっていく。

ぽっぽと熱くなった身体がしっとりと汗ばんでいく。

この妙な空気、キスするよりも恥ずかしいって……ど、どうすれば……っ。


「……覚悟はできてるんだよな?」

「は……?」

「わかった。できてるんだな」

「え、な……っ」


何も答えてないのに、ぐいっと手を引かれて立ち上がらせられる。

私のことを見もせずに朔太郎が向かい始めたのは……起き抜けにそのままにしていたのか、シーツが乱れたままのベッドがある寝室だ。

その意味に気付いて慌てた私は、朔太郎の手を引くけど、止まってくれない。


「待っ……、朔太郎っ!」

「待たない。もし美桜が俺から離れたいって言っても、絶対に離さない。逃げようと思っても無駄だから」

「……朔太郎!やっぱり待ってっ」

「!」


ぐいっとその手を思いっきり引くと、朔太郎の足が止まった。

 
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