私は男を見る目がないらしい。
 


「ヤッホー、朔っ!」


住岡さんは1メートル先からぽんっとジャンプしたと思えばとんっと軽々と降り立ち、朔太郎に向かってにこっと笑った。

……わ、ほんとお人形みたいだ。

朔太郎は、住岡さんのことを女として見たことはない、なんて言ってたけど本当なんだろうか?と疑ってしまうくらいの可愛いさ。

こんな子がいつも近くにいて恋愛感情が生まれない方がおかしいと思うんだけど……。

朔太郎のことを信じると心に決めたとは言え、あまりの可愛いさにやっぱり嫌な不安が私を襲ってくる。


「つーか、住岡、去れ!寄ってくんな!」

「はぁ!?おねーさんに対して何その態度ぉ!?生意気だっ!!!」

「ぐはっ!お前、アホかっ!急所を突くな!」

「ふーんだっ、朔が悪いんだもん!」

「……。」


朔太郎と住岡さんのテンポの速すぎるやり取りを、私は呆然と見ることしかできない。

朔太郎は住岡さんに急所のわき腹をぼすっと殴られて、住岡さんのことを睨み付けながら痛そうに手で押さえている。

っていうか、年末に見た時の雰囲気と全く違うんだけど……。

仲がいいっていうか……この感じ、何だろう。

……あ、漫才を見ている感覚と同じなんだ。

妙に腑に落ちた時、ふと住岡さんの視線が私を捕らえた。

 
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