私は男を見る目がないらしい。
「っていうかさ、別にいいだろ?男を見る目がなくても」
「は?良くないから」
「“俺以外の”男を見る目がなくても別にいいだろ、っつってんの。美桜は俺のことだけを見てればいいんだし」
「!」
「美桜に男を見る目がないのは、俺と結ばれるためなんだから」
な?、とにっこり笑顔で言われ、私は何も言えない。
そして、朔太郎の手が私の手に触れたかと思えば、するりと絡まってくる指にびくっと反応してしまった。
「何度離れたって、美桜は俺と結ばれる運命なんだよ。他の男なんて見る必要なんてない。ていうか、もう一生、俺は美桜を離すつもりはねぇけどな」
「っ!……バカっ」
「バカでいいし。それで美桜が俺のものになるなら、どれだけでもバカになってやるよ」
こんな公衆の面前でさらっと甘い言葉を言われてすごく戸惑うけど、私の心をがっちり掴むのには十分すぎるものだった。
戸惑う私を見て、朔太郎は満足そうに笑顔を浮かべた。
……こんな風に甘い言葉を吐いて私のことをからかうような男が、私は好きなんだ。
これは紛れもない真実。