私は男を見る目がないらしい。
 

あまりにも聞きたくなくて、朔太郎の手を離して、私はさかさかっと朔太郎を置いて早歩きをする。

声が聞こえなくなった頃、いつの間にか私に追い付いていたらしい朔太郎の笑い声がすぐ上から落ちてきた。


「……ぶはっ」

「!」

「素敵な人ねぇ~。美桜がそういうの好きなら、俺も言ってやろうか?」

「っ、バッカじゃないのっ!?絶対にやめて!!最悪っ」

「くくっ。いやーでも、あれは男の俺でもさすがに引くな~」

「……朔太郎が引くほどだし、相当酷いよねぇ。はぁ、もう」

「なにそれ、やっぱ俺のことけなしてんの?」

「……はぁ。私ってほんと男を見る目がない」

「は?」


私は朔太郎の言葉を完全にスルーして、今までもずっと思ってきた言葉をぽんっと吐き出した。

付き合いたいとか思ったわけではないけど、素敵だと思ってしまった男の内面がアレ。

内面なんてすぐにわからないものとは言え、何かへこむ。

やっぱり私って男を見る目がないんだなぁ……。


「歴代の彼氏も近付いてきた男もろくなのいなかったし。あ、朔太郎はギリギリ外しといてあげる」

「ギリギリって何だよ。失礼だな」

「はぁ。」


一応のフォローを入れたものの、朔太郎は納得していないようだった。

まぁ、スルーするけど。

 
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