私は男を見る目がないらしい。
リビングに入った時だった。
人の姿が目に飛び込んできた。
「!」
「……お、おかえり。美桜」
「へ?え、朔太郎……?何で……」
リビングのソファに座っていたのは、朔太郎。
ローテーブルにバサバサっと紙の束を置いたのが見えた。
「美桜こそ……早かったなっ?」
「うん……、んっ、痛ぁっ……」
「え?何?何かしんどそうだけど……具合悪いのか?」
朔太郎が立ち上がって私のそばに寄ってきて、支えてくれる。
朔太郎の顔を見上げる余裕なんて全くなくて見れなかったけど、その声から“きっと心配してくれてる”と感じた。
「わ、汗すごいじゃん!大丈夫なのか?」
「う、うん……ごめ、ちょっと、体調悪くて……」
「病院は?連れて行こうか?」
「あ、行かなくて大丈夫……っ。寝れば良くなると思うから、ちょっと寝るね?」
「あ、あぁ。うん。美桜がそう言うなら……ほら、捕まって」
「ん、ありがとう……」
何でこんな真っ昼間のこんな時間に朔太郎が家にいるんだろう?という疑問が頭をよぎったけど、今はそれどころじゃなかった。
とにかく、早く横になりたかった。
私は朔太郎に身体を支えられながら寝室に向かってベッドに横たわり、そのままふかふかの布団に身を沈めた。
お腹の痛みを感じながらも、私の意識は誰かに操られているかのように、闇の中に沈んでいく。
薄れゆく意識の中感じたのは、朔太郎がぽんぽんと布団を丁寧にかけてくれたこと、そして、タオルで汗を優しく拭ってくれる感覚だった。