恋物語。
―それから約数十分。
あっという間に私の家の前まで着いてしまった。
「…ありがとうございます。」
「いいって別に。これは俺の“わがまま”なんだから。」
「そんなことないですよ……だって私も…」
言いながら俯き、
『……会えて嬉しかったから…』
小声でそう呟いた。
「何…?聞こえなかったんだけど。」
「……何でもありませんっ」
ガバッと顔を上げてニコッと笑ってみせる。
「あぁー……マジで反則。」
「え……っ!?」
「…連れて帰りたくなるじゃん。」
“反則って何?”って思ったのも束の間、あっという間に聡さんの胸の中に収まった。
「……ふふ。」
「え、何で笑うの?」
こういう場面では笑うことのなかった私に聡さんは少し驚いているように感じた。
「え…?何か可愛いなぁ…って思ってしまって。」
「え。これ可愛いの?どこが?」
「それは…分からない、です…」
「ふ…分からないんだ?じゃあ追求しない。」
「……」
その方がありがたいです。それ以上聞かれても…何も出ませんから…。でも…っ
「……聡さん。少し、屈んでくれませんか…?」
私は彼の身体を離し目を合わせる。
「こう…?って、前にもこの展開あったよね?また……」
ごちゃごちゃ何かを言う彼の両肩に手をつき思いっきり背伸びをして…
「っ…!」
彼の唇にキスをした――。
「……今度は、ちゃんとしましたからね…?//」
でも…“愛情表現”なら、ちゃんと出来ますからね…?
「…うん。」
返事をした彼は…私の唇を塞いだ――。