恋物語。
「知沙…知沙は縛られたいんだっけ?」
「へ…?」
ようやく私を離した彼が放った一言がこれ。
縛られたい…って…??
「もしかして忘れたの?やっぱり熱のせいかー…先週の“縛って”発言。」
「///…っ!!!」
それで全てのことを思い出した。確かに私は…彼にそう言った。だけど華麗にスルーされて…―。
「実はあれ、萌えてたのになぁー…知沙は、そうされたいのかって。やっぱり違ったの?」
「!」
聡さんが萌えてくれているなんて思わなかった…。
だって…本当に華麗すぎるスルーっぷりだったんだもん…。
「あ…あれは……慎一くん、に…そう言われて…」
「しんいち…?って、あぁ…南?」
「はい…実は私…彼にプレゼントの相談をしたんです…。男の人にプレゼントをあげるなんて経験、全くなかったので…。それで…そう言ってみたら?とか何とか…」
真実を話すことに段々恥ずかしくなってきて…気づいた頃には俯いていた。
「……なんだ。そういうことか。」
聡さんはそう言って私の頭をポンポンと撫でる。
「じゃあ本当は…?縛られたいの?」
「っ…!ゃ…やだ…っっ」
耳元で聞こえる悪魔の囁き。
私はそれに思いっきり首を横にブンブンと振った。
「だったら…―、」
「っっ…」
顎を掴まれ顔を上向かされる。それに…眼鏡も奪われてしまう。
「―…先週分の時間、今から俺にちょうだい…?」
「っ…!!……っっ…」
彼はそう言って私の返事も聞かぬまま強引に唇を塞いだ。
そのあとはもう…彼の思うツボ。全てを彼に委ねた――。