恋物語。
―それから。
タクシーに乗ること…約30分。聡さんが予約したというホテルに到着した。
そのホテルというのが…超ー有名で高級な名の知れた誰もが知る老舗のホテル。
しかも、このホテルで一番高いお部屋は…一泊ウン十万というから驚いた記憶が…。
「ぇ…」
本当に、ここなの…?
って着いた瞬間、思ったけれど…聡さんは私の手を取り迷うことなくホテルの中へと入っていく。
そして、そのままエレベーターに乗り込み…レストランフロアである“10”を押した―。
「…いらっしゃいませ。」
ウエイターの方がそう言い会釈をする。
「予約していた、井上です。」
「井上様ですね?…はい、伺っております。ではコートの方お預かり致します。」
ウエイターさんがそう言うので、その場でコートを脱ぎ渡した。
「あ…」
「え…?」
すると私の服装を見た聡さんが少し驚いたような表情を見せるので小首をかしげる。
何だろう…??
「では、こちらへどうぞ。」
でもすぐ…ウエイターさんが手をかざして歩き出すので、そのあとをついていく。
そして席まで案内されて、そこへ腰をおろした。
「今日はお越し頂き誠にありがとうございます。お飲み物は、いかが致しますか?」
「じゃあ……赤ワインで。」
ウエイターさんに、そう答えるのは…当然、聡さん。
うわ…大人だ…。
「ではグラスの方は…」
「…2つで。」
「!」
え…??
彼の発言に心の中で驚く。
「かしこまりました。」
「あと…お水もいいですか?…彼女に。」
「へ…」
「かしこまりました。お持ち致しますね。」
ウエイターさんは会釈をして去っていった。