恋物語。
―夜。
「…今日はありがとう。俺の実家に行ってくれて。」
二人で住む部屋へと帰ってきた私たちはリビングのソファに座っている。
「ううん…。だって私は聡さんと結婚するんだもん…。ご両親やお姉さんたちに、ご挨拶できて…私も嬉しい…」
そして…彼の腕を掴み、その肩に頭を預ける。
「何…?今日は甘えてくれるの?」
普段はあまりしないその行動に…彼は少し驚いているのかもしれない。
「緊張、した…っ」
「うん…それは見てて、すごく分かった。あとは…?」
「お姉さん…何であんなに若く見えるの…?」
「あははは…それは俺にも分かんないよ。美容とか気をつけてるんじゃない?」
聡さんは笑ってそう言うと抱き締めるような感じで私の頭を撫で始める。
「……」
本当にそれだけなのかな…?それだけで…あんなに若くいられるの…?
「何…?そんな気になる?姉さんのこと。」
「気になるっていうか…私も見習いたい…ッ」
そこまで言って、ハッと息を飲んだ。
こ、これ…聡さんには言わないつもりだったのに…。
由子さんみたいに…いつまで経っても綺麗でいたいって…。
「それ…俺のため?」
「え…」
「姉さんみたいに…いつまでも綺麗でいてくれるんでしょ?」
そう言いながら、まだ私の頭を撫で続けている聡さん。
「っ…」
私は、それに黙って頷いた。
「じゃあ…いつまで経っても綺麗でいてよね?」
「っ…!」
聡さんはそう言うと…私のおでこにキスをした。
うん…。あなたのためなら…私は何でも頑張れると思うの…。
だから私は…あなたの気が私だけに向くよう努力するからね―…?
【END】