恋物語。
「実は私……旦那と子供がいるの。」
「ええぇ…!?え…っ!?」
この年齢でそう言われたら…普通のことかもしれない。
だけど由子さんの場合は…見た目が実年齢よりも若く見える。
開いた口が塞がらないとは、このことを言うのかもかもしれない。
私は口をパクパクさせ…それ以外の言葉が思いつかなかった。
「ふふふ…知沙ちゃんには話がいがあるわね?」
私の様子を見ている由子さんにそう言われる。
「ちーさ。…大丈夫?」
「え、あ……はい…」
その時、聡さんが私の頭を撫でる。
それで私は我に返ることが出来た。
旦那さんと、お子さん…。
こんなに綺麗な人がママだなんて…家族の自慢だろうなぁ…。
「てか姉さん。あんまり知沙をイジめないでくれる?」
「ごめん、ごめん。あまりにも知沙ちゃんが驚くもんだから…つい。」
てへ、と悪戯をした子供のように由子さんは小さく肩をすぼめた。
「それより…私からも聞いていいかしら?」
「あ、はい…!」
今まで兄弟のやり取りを微笑ましく見つめていた彼のお母さんが口を開いた。
「知沙さんは……聡のどこを好きなったの?」
「え…!?聡さん、の…」
それを聞かれるとは思わず…ドキッと心臓は音を立て隣の彼に目を向ける。
「っ…!」
すると、すぐに目が合って目を逸らすように俯いた。
「聡さん、は…」
本当に優しくて…いつも私のことを想ってくれる…。
だから…私が甘えられるのは…聡さん、だけ―…。
「///…」
言い終わって顔が熱を持ち始める。
「…本当に愛されてるのね、聡は。知沙さん、これからも聡のこと…よろしくお願いね?」
「……はい…」
私はお母さんを始め家族全員に誓うように頷いた。