恋物語。
あんな衝撃的な出会いから…数時間後。時計の針は、お昼の12時を指していた。
その途端、デスク周りにいた社員や品出しをしていたアルバイトの人たちが休憩室の方へと消えていく。
「ふう…」
やっとお昼だ…もうすでに変な神経使って疲れてるんだけど…。
あ、でも…今日は今から…井上さん、とランチだった…。もう来てるのかな…?
不安というか何というか…そんな気持ちを抱えた私は上着を羽織り、カバンを持って外に出た。
「…知沙。」
するとすぐに…井上さんの声―。
「お疲れ様です。…待ちました?」
彼の乗る車に近づいていき、開いていた助手席の窓からそう尋ねる。
「いや?待ってないよ。それより…早く乗りなよ。」
「あ…はい…っ」
井上さんに促されて、そのドアを開け助手席へと座る。
「…ビックリした?」
シートベルトを締める私にそう聞く。
「そりゃあもちろん!何で言っ…」
シートベルトを締め終わり彼のへ顔を向けると…
「//…っ」
ものすごい至近距離まで彼の顔が迫っていた。
ち、近い…っ!!何で!?近すぎるってば…っっ
「あのっ…なんっ…ですか…?」
「ん?見えてるかなぁ~…って思って」
「み…見えてますよ!眼鏡してますもんっ!!だから離れてくださいっ…井上さ…っ」
「さとし」
「っ…」
「この間、電話で言ったよね…?2人の時に呼んでもらうって。じゃないと…離れてあげないよ?」
「っっ…」
そう言うと、さらに距離は縮まり…下手すればキスが出来そうな距離感にまで迫る。
「……離れて…くださいっ…聡さん…っ」
「……分かったよ。」
私が名前を呼んだだけで彼はあっさりと離れてくれた。
「っ…」
た…助かった…っっドキドキしすぎて死んじゃうかと思った…っ
「じゃあ行こうか。てか…俺が行きたいとこでもいい?」
「あ…はい…」
「了解。」
彼はそう言うと車を走らせ始めた。