恋物語。




聡さん…何のために、このお店に入ったんだろう…?何か欲しいものがあるとか…?
いやでも、聡さんが好みそうな物ってない気がするし…んー…。もしかして偵察とか…?




「ねぇ、知沙。知沙は、どれがいい?」


聡さんは目の前に置かれたマグカップを見ながらそう言う。



「え…?私、ですか…?」




何で私に聞くんだろう…?あ…!誰か女の子にプレゼントする…っ




「知沙?」



「へ…っ!?」


私にそう聞く理由を頭の中でグルグルと考えていたら…
いきなり聡さんが私の顔を覗き込むから両肩がピクっと上がった。



「何を勘違いしているんだ…?これは知沙の、なんだけど。」



「え…?」


視界いっぱいに広がる彼がそう言う。私はそれに驚いて…よく理解できない。




私の…?って、なに…?ほんとに分からない…っっ




「教えて欲しい…?どういう意味か。」



「……はい…っ」



「じゃあ…―、」


彼はそう言うと私に耳打ちで“ある約束”を取り付ける―。





「っっ…!?!?!?」




なっ…!そ、そんなこと…出来るわけないってばー…っっ




「何をそんなに驚いてるの?何も今すぐしろって言ってるわけじゃないんだから。けど…今日中ね?」


彼はそう言うと、ニヤリと口角を上げた。



「っ…」




きょ、今日中って…!!そんなの私に…っ




「“出来ない”とか言わさないよ…?もう約束したんだから。」



「……。」


意地悪で鋭い瞳を宿す彼は、そう言いくるめて私が反論出来ないようにした。



「じゃあ話を戻して…。知沙用のマグカップを、うちに置きたいなぁ…と思って。嫌…?」



「ぇ…っ?」


再び優しい表情に戻った聡さんはそう言うと…私の目をじっと見つめる。




嫌、なんて…そんなの全然…っっ




「嫌、なんかじゃないですっ…すっごく嬉しい…っ」



「ふふ…よかった。」


彼は目を細めて嬉しそうに微笑んだ。





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