きみの、手
「まぁまぁ、仕方ないよ!先輩もわざとじゃないしさ!人間どうしてもダメなものも一つくらいあるし!」
「けど…」
「ほら、えーと…私たちもナメクジとか触れないじゃない?そんな感じだよ!」
「は?ナメクジ?」
どうしても触れないものは仕方ない、そういう意味でフォローをしたつもりの私だったけれど『ナメクジ』という言葉があまりよくなかったのか、彼女ははぁ?と余計不機嫌になる。
「ってことは響、あんたもナメクジってことよ?いいの?ムカつかないの?」
「うん、全然!まだ塩撒かれないだけいいかなって!」
「……」
ところが元気良く返す私にこれ以上話しても無駄だと判断したのか、彼女たちは呆れたようにその場を去って行った。
ナメクジって…言葉選び間違えたかな?でもゴキブリよりはいいかと思ったんだけど…
「おい」
「はいっ!ってあれ、城田先輩!」
そうしていると一人残されたその場で呼ばれた名前。振り向くとそこにいたのはいつものようにポケットに手を入れた格好の城田先輩だった。