きみの、手
「あっ今丁度屋上行こうとしてたところで…あれ!?もしや今の話聞いてました!?」
「あぁ、ばっちり」
ってまずい!あの子たちが先輩の悪口言ってたの聞こえてたなんてっ…こ、ここはフォローを、
「あ、あの先輩?あの子も決して悪気があったわけではなくてですね、元々少し怒りっぽいといいますか…」
「別にどう言われようと関係ない。…つーかお前、自分のことナメクジとか言って虚しくないわけ?」
「いやぁ、上手い例えが見つからなくて」
気にしているものの慣れもあるのか、普通の顔でそう言う彼に私は頬をかく。
「…バーカ、ナメクジなんかじゃねーよ」
「えっ、本当ですか!?」
「あぁ。お前はそうだな…カタツムリ?」
それも彼なりのフォローなのだろうか、私と同じくらい下手くそなそのフォローに思わず笑ってしまう。
「わーい、カタツムリ!」
「それ、喜ぶところか?」
「はいっ、貝がついてますから!」
そんな私に彼はまた笑うと、ポケットから右手を取り出しポン、と私の頭を撫でた。
ほんの一瞬、彼から触れてくれた感触