きみの、手



「…?城田先輩、潔癖症治ったんですか…?」

「なわけあるか。肌に直接触れるのが苦手なだけで、頭はセーフなんだよ」

「……」



そうそっけなく言うと、すぐに手を引っ込め屋上の方向へ歩き出してしまう。



そっか、セーフなんだ…。

でも、彼が初めて自ら触れてくれた。そのことが、すごく嬉しい。すごくすごく、嬉しい。

大きな進歩、だ。



「待ってくださいよ!先輩っ!」

「早くしろ、置いていくぞ」



喜びにはしゃぎながら、足早に歩く先輩の後ろをバタバタと追いかける。



「…、」



すると突然、それまでスタスタと歩いていたその足はピタリと止められた。



「?先輩?」

「……」



どうしたのかと後ろから彼の視線の先を覗き込むと、そこには窓の外…会社の入り口を歩くウェーブがかった茶色のショートカットの美人な女性がいた。

あれは…確か人事部の社員さんだ。美人でスタイルもよくて、まるでモデルみたいだと男性社員たちが話題にしていたのを聞いたことがある。



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