きみの、手



「…先輩は、まだあの人のことが好きなんですか?」

「……」



沈黙と、こちらに向けられることのない瞳。それだけで、それが肯定であることくらい私にだって分かる。



そう、だよね。

好きなのに、うまく伝わらなくて別れてしまって。その気持ちは、引きずってしまうだろう。彼の中では終わってなんかないだろう。

じゃなかったら、あんな悲しい瞳見せない。



そんな、大好きなあなたに私がしてあげられることは何だろう。

私が、彼の為にしてあげられること。彼を笑顔にするために。出来ることは、たったひとつ。



「言いたいことがあるなら、ちゃんと言わなきゃダメですよ」

「え?」

「言わないままの気持ちは、引きずるだけです」

「……」



その背中を、押すこと。

きっと大丈夫。さっき私の頭に触れたくらいだもん、好きな人にも触れるはず。


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