好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「……どうしたら人を好きになっていく気持ちを止められますかね」
「え?」
あかりさんが驚いたようにあたしを見る。
「……どうしたらこの気持ちがなくなるかなって」
忘れたいのに忘れたくない。
忘れなきゃいけないのに忘れられない。
どうしたらいいのか分からない。
瀬戸の笑顔が離れない。
好きになっちゃいけないのに。
友達と同じ人なんて……そんなの……
あかりさんはしばらく黙りこんだ後、小さく笑った。
「ムリだよ、そんなの」
「え……?」
思いがけない返答に思わず声が漏れる。
「そんなの、自分ではどうしようもないよ。
どうにかできたらみんなやってる」
あかりさんは笑いながら目の前にあるアイスコーヒーをストローでクルクルかき混ぜる。