好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―

「止めることなんてできないよ。
人を好きになるのって、そんな簡単なことじゃない。
自分の意志とは関係なくどんどん進んでいっちゃうんだから」


本当、怖いよねーとあかりさんは明るく言う。


「……つぐみちゃんが誰を想って何を考えてそんなことを言ってるのかは分からないけど。
その恋は叶わないものかもしれなくても、今ある気持ちは大切にした方がいいよ。
それをなかったことにしちゃったら、いつか後悔する」


後悔……。


あたしはこのままいったら後悔するのかな……。

分からない。


何が正しいのかなんて。


今のあたしにはさっぱり。


「…………………」


いまだ表情が晴れないあたしを気にしてなのか、あかりさんが何かを思いついたようにパン!と手を叩いた。


「そうだ!つぐみちゃん!
今から家においでよ」

「え……あかりさんの家?」

「うん!
そんで、その辛気臭い顔をスッキリさせちゃお!
あたしがいくらでも愚痴聞いてあげる!」

「でも……」


あかりさんの家ってことは……

……当然瀬戸の家でもあるわけで。


そんなあたしの心の声が聞こえたのか、あかりさんは笑いながら口を開く。


「大丈夫!
今、家誰もいないのよー。
もちろん涼も。
だから思いっきりガールズトークできるよ!」


ね、だから行こ!

というあかりさんの押しに負け、あたしはためらいがちに頷いた。

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