好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「どうした?」
思案顔だったあたしを見て、瀬戸が不思議そうに尋ねる。
「え、あ……何でもない」
聞いたって答えてくれないだろうし。
何より、この雰囲気を壊したくないって……そう思ってしまった。
瀬戸はギュッとあたしの手を握りなおすと、そのままどんどん歩いていく。
……今考えるのはやめよう。
だって今は……
また瀬戸の顔を見上げれば、瀬戸はあたしと目を合わせて微笑む。
それにまた鼓動が乱されて。
もうどうしようもない。
「あとちょっとだよ」
そう言われて周りを見れば、随分と人気のないところに来ている。
躊躇うことなくどんどん進んでいく瀬戸。
「ここ、どこなの?」
「んー、もうちょっとしたら分かるよ」
ははっ、と笑いながら瀬戸が答える。
さっきからそればっかり。
でも……
「大丈夫。
つぐみちゃん、絶対喜んでくれるから」
そうやって嬉しそうに笑うから……文句なんて言えない。