紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~
「ほら鏡夜、綾香が困っていますから離してあげて下さい」
口を開きかけた時、時政先輩が鏡夜を嗜めるように話してきた。
その声にピクンと肩が動いたけど、まだ鏡夜は私を抱きこんだまま動こうとはしない。
「鏡夜ー、僕だって綾香に抱きつきたいのを結構我慢してるんだよぉ~」
「そうだそうだ。僕だって我慢してんだぞ」
青治の言葉に朱利が頷きながら抗議する。
その言葉でハーッと私の肩の上で息を吐く鏡夜の、目の前にあるオレンジ色のメッシュの髪が揺れた。
「チッ、ウゼー」
吐き捨てるように口にした鏡夜が諦めたように力を抜き、そして私から離れようとした時だった。
カランカラン---
店内にドアベルが鳴り響き、ここにいる皆の視線が一斉にドアへと向かった。