紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~


「あ、俺」


微かにスマホから聞こえてきたのは、男性の声。


多分、父さんの声だ。




しかし何を話しているかは、言葉が途切れ途切れに聞えてよく分からない。


良牙が電話を切るまで私はただジッと、良牙のスマホを持つ姿を見つめるしかなかった。




驚いた表情となった良牙はその後、薄い唇を動かす事なく耳を欹てている。


スマホから何も聞えなくなってもなお、今だスマホを持っている良牙。



時が止まったように動かなくなった事に不思議に思い声をかけようした時、スマホを持つ良牙の腕がダランと下ろされそのまま私に視線が向けられた。


いつもより大きく見開いたその瞳に、ドクンと胸が鳴る。





「何を言われたの?」


「………今は教えられない、…だとよ」


「えっ?」



今は教えられない?


それって父さん、隆之さんが何をしにロスへ行ったのか知ってるって事だよね?




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