STORMILY
私は何も言葉が返せなかった。


「……ま、とにかくそういう流れで、俺はこの学校にたどり着いたっていうワケだ」


先生はこの場に漂うしんみりとした空気を無理矢理変えるように、陽気に声を発しながら、再び私に視線を合わせた。


「この学校は進学校だけあって、大きく道を外れるような生徒はいなさそうだけどさ。でも、規則正しく、日々真面目に過ごしている生徒にだって、その子なりの悩みは当然あると思う」


一呼吸置いてから、先生は問い掛けて来た。


「庄井はどうだ?」


「え?」


「何か俺に、聞いて欲しい事とかあったりしないか?」


先生の瞳には、先ほどとはまた種類の異なる変化が現れていた。


上手く表現できないけれど、その鋭い光を湛えた真摯な眼差しで見据えられ、またもや私の鼓動は大きくはね上がる。


「い、いえ…」


ドキマギしながらも、私は何とか返答した。


「べ、別に、今のところ私には、何もお話するようなことなんか、ないですよ…?」


「……そっか」


何時間にも感じた、だけど実際にはほんの数秒であっただろう沈黙のあと、先生はそう言いながら静かに視線を逸らした。
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