STORMILY
相手は別に何も悪くないのに、勝手に緊張して萎縮してしまうのだ。


難なく手に入れた大人気のパンを、美味しそうに頬張る彼女達の前で、昨日の夕飯の残り物が詰められた、ほぼ茶色のお弁当を広げて食す勇気は私にはない。


「おっ」


するとその時、先生の声が一際大きく響いた。


「遅かったな、庄井」


自分の世界に入っていた私はそこでハッと我に返る。


手すりの陰に隠れていたつもりがいつの間にかだいぶ前に出ていたようで、先生に目敏く見つけられてしまった。


その言葉と同時に、青柳さん達が一斉に振り返った。


全員、目を丸くしてこちらを凝視している。


「え…。庄井さん?」


「うそ。あの子もここで食べてたワケ?」


「ん?皆知り合いか?」


先生の問いかけに戸惑い気味に葛西さんが答えた。


「だって、同じクラスだし…」


「ああ、そっか。じゃ、紹介は必要ないな」


笑顔で陽気に言葉を発する先生とは明らかに温度差がある、彼女達の表情はこの上なく怪訝そうだった。


もう、ダメだ…。


「あ、あの。私、今日はやめときます」
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