STORMILY
お母さんが昨日に引き続き、きちんと意識がある状態だというのも驚きだけど、まさか出迎えの挨拶をしてくれるなんて想像もしてなかったから。


「何ビクついてんのよ。変な子ね」


「あ、ご、ごめん」


謝罪しながらドアを閉め、遅ればせながら挨拶を返した。


「ただいま…」


こんな当たり前のやり取りを交わすの、一体いつぶりぐらいだろう。


それに今日のお母さん、何だかやけに機嫌が良い。


そんな事を考えながら靴を脱ぎ揃え、スリッパを履いて改めてダイニングテーブルに向き直った所で、最初見落としていたそれに気付き、ギクリとする。


「……お母さん」


「ん?」


「何でその通帳、引っ張り出して来たの?」


昨日盗み見た、私の学費に充てる予定のお金が預けられている、銀行の通帳。


必要な時以外タンスに仕舞われていなくちゃいけないハズなのに。


「何でって…。全財産があといくら残ってるか、確認してたんじゃないの」


お母さんはテーブル上の缶ビールを手に取り、グビグビと飲んだ後、上機嫌に続けた。
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