STORMILY
「お母さんにだけは言われたくない!」


「はぁ?」


言っちゃダメ、と遠くの方から声が聞こえたような気がしたけれど、もう自分を抑える事はできなかった。


「お母さんこそ自分の事しか考えてないじゃない!体が弱い?そんなの自業自得でしょ!?毎日毎日お酒ばっかり飲んでるから、そんな体になっちゃったんだよ!」


「なっ」


顔を真っ赤にしながら立ち上がり、私に接近すると、お母さんは力任せに平手打ちして来た。


「人の苦労も知らないで偉そうにっ。ほんっと可愛げのない子だわ!」


頬を押さえて呆然とする私を睨み付けながら、お母さんは続けた。


「そんなんだからアイツに捨てられたのよ!」


突然何を言い出すのかと思ったけれど、すぐにそれは父親の事だと理解した。


「子供が生まれれば変わるかと思ってたのにっ。ますますろくでなしになっただけじゃないの!みんなあんたが悪いのよっ。あんたがちゃんとあの男になつかないから!ちゃんとご機嫌取りをしなかったからっ!」


つまりそれは、父親を繋ぎ止める道具として、私を身籠ったということ…?


鬼の形相で、全身をわなわなと震わせながら、お母さんは叫んだ。


「この、役立たず!あんたなんか生むんじゃなかった!」
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