STORMILY
いわずもがなですぐに誰かに発見されてしまうのを防ぐ為だ。


もう少しだけこの景色を堪能してから旅立ちたいから、それまで誰にも邪魔されたくない。


ちょうど良い頃合いに着いたのかもしれない。


中庭を挟んで対面にある建物は、1学年から3学年までの教室が並んでいる棟。


この時間なら部に所属していない生徒はとっくに下校している。


部活動の生徒には当然、それぞれ割り当てられている部室があり、荷物はそこに保管しておいて練習終わりにはそのまま帰宅するように指導されているので、教室に戻る事はない。


じゃないと、最後に校舎内を見回りする教師がいちいち生徒を追い出さなくてはいけなくなり、余計な負担がかかるからだろう。


美術部や吹奏楽部など、文化部の生徒は今私が立っている特別教室棟の中で活動しているし、運動部の生徒には体育館やグラウンド端にあるプレハブ小屋が部室として宛がわれているので、彼らからは私は死角の位置に入り、目撃される心配はない。


かといって、あまり遅くにここに着いてもダメだったのだ。
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