STORMILY
「バカな真似なんかじゃ、ないですっ」


私は必死に叫んだ。


「私にはもう、こうするより方法がないんですっ」


「何がどう方法がないって?」


先生は髪を乱す突風に一瞬目を閉じた。


「そんなこと、一人で勝手に決めるな」


だけどすぐにしっかりと両目を開き、私を見据える。


「この世を生き抜いて行く術なんて無数にある。一つダメになったからって、それですべてが終わりだなんて思うなよ。一人で抱え込むな」


先生の瞳は今まで見てきた中で一番険しくて、だけど何故か一番切なそうだった。


「俺を頼れよ」


心なしか、声も切羽詰まっている。


「俺に、庄井が幸せな人生が送れるよう、手助けをさせてくれよ」


「……手助けって…。先生に何ができるっていうんですか?」


私は自分でも、さぞかし嫌な表情になっているんだろうな、と自覚できるひきつった笑みを浮かべた。


「先生に、母親のアルコール依存症が治せるんですか?」


唐突な問い掛けだったけれど、先生は黙って私の言葉を受け止めた。
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