ただ、そばにいて
「テイクオフ出来た瞬間ってさ、最高に気持ちいいんだ」



まだまだ波乗りを楽しむサーファーを眺めながら言うナツに、私も笑顔を返す。



「一番の醍醐味って言うもんね。見てても気持ち良さそうだもん」

「そう。でも波に乗れたことがっていうより、いいポイントを見付けられたことが嬉しかったりするんだよね」



そういうものなんだ、と思いながらふむふむと頷く。

サーフィンのことを話すナツの目は真剣で、趣味に留めておくのがもったいないと思うくらい。



「テイクオフする時って最初は転ぶのが怖いんだけど、怖じけづかずに突っ込まないと上達しないんだ」

「へぇ……」

「きっと、何でもそうだよな」



──何でも。それは例えば、恋愛でもそうだろうか。

怖がらないで、突き進んだ方がいい?

いとこという関係を越えたものを、求めてもいい……?

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