ただ、そばにいて


翌日は、私の心を表したかのようなどんよりとした曇り空で、バーベキュー日和とはとても言い難い天候になってしまった。

専用の器材やテーブルが揃ったバーベキュー場を借りていて、屋根もある所だから雨が降ってもそんなに困らないのだけれど。



「晴れた日に比べたらそこまで日焼けも心配しないでいいもんねー」

「雨降ったら水着になればいいんだし」



なんて言いながら、皆天気の悪さなんて気にせず気楽にバーベキューを楽しんでいた。



「雨が降らなきゃ見れねぇのか」



肉を頬張りながら、相変わらずのスケベ発言をする翔吾。

この間と同じく、Tシャツの下に隠した水着を透視でもするかのように、目を細めて私を見てくる。

そんな目線から顔を背ける私だけれど、こんなヤツだからこそ昨日の気まずさも感じない。



それよりも、私はやっぱりナツのことしか考えられない。

今日は彼もバイトではないし、天気も悪いから家にいるのだろうか。それとも、友達と遊んでる?


昨日の会話を聞いている限り、エリカさんはきっと彼女ではないんだろう。

思えば、ナツと恋愛の話なんてしたことなかったかも。

それなのにナツの彼女になりたいとか、急に高いハードルに挑み過ぎかなぁ私。

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