ヤクザの家族になっちゃった!?


さっきの不思議な男、けいたくんの事を龍之介さんに言おうと思ったけど

言う必要がないと判断して、黙っておいた。

「ん。」

そう言って渡してくれたかき氷。

あ、これを買いに…?

どうしよう、本気でかき氷大好きになりそう…。

「ありがとうございます!」

そう言うと少し微笑んでくれた。

そんなひとつの表情だけで上がってしまったテンションを

落ち着かせようとかき氷をかきこんだ。

「うー…、きたぁー」

もちろん、つめたーいかき氷を食べるんだから頭がいたくならないわけがない

くぅーーっ

とうなりながら片手で頭を抑えると

不思議そうな顔をして見てくる龍之介さん。

「なにしてるんだ?」

そう聞かれ、

「頭がいたいんです」

と答えると

「熱中症か?」

そう聞かれ、驚いた。

「かき氷食べたからキーンとなっただけですよ?」

そう答えると、

「かき氷はキーンとなるのか、」

そう、一つ学んだとでも言いたげな顔でそう言った龍之介さん。

「なりませんか?」

もしかして、ならない人もいるのかな

なんて考えてると

「知らん。食べたことないからな」

と。

え、かき氷食べたことない人なんているの?

「それはもったいないですよ!

ほら!」

そう言って一口すくい、口元まで運ぶと、

少し驚いた顔をしてから

嬉しそうに笑い

パクっ

なんて効果音がつきそうなくらい

かわいく食べられたもんだから

私の顔が熱くなる上に

心臓が暴れだし、

きゅんっとした。


それを補うように慌てて話しかける

「ど、どうですか?」

ジーっと見てると

「別にならないな…」

そう、悲しそうな顔をして言われた。

「そりゃ、一口しか食べてないからですよ!」

そう言うと、

そうか…

と呟いて

もう一口。

とでも言いたげな顔で

口を開けて待ってる。

このあと、暴れる心臓と赤面する顔を必死で抑える戦いに勝てなかったことは言うまでもない…かな?

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