ヤクザの家族になっちゃった!?
「和泉!!!」
幻聴かもしれないけど
そんな声が聞こえた。
いや、100%幻聴だ。
だって目の前の男たちは気づいてないから。
けど、
私の心にまた対抗心がよみがえったのは事実。
急に暴れだした私を取り押さえようと
一人の男が私の上に乗っかってきた。
けど、いまだにバタバタと暴れる私。
なんの拍子にかわからないけど
私の足を拘束してた紐が緩んだ。
ずっとバタバタと体を暴れさせる。
もう一人の男は
私の足の上に乗っかろうとまたいだみたいだ。
でも私は負けじと今までより何倍もの力を振り絞って暴れる。
当然足も。
不意になにかを蹴ったような
そんな感覚がした。
それと同時に
「うぉ……」
そう、苦しそうな嘆き声が聞こえ、
倒れこんだ音がした。
「え…」
「おい!どうしたんだ!?」
もう一人が心配そうにそっちに駆け寄る。
「俺はもうダメだ…。」
そんなことを向こうで会話してるのを
ボーッと聞いていた私の耳に
「…は?」
そう、大好きな人の声がした。
私は慌てて後ろを振り替える。
そこには走ってきたような姿の龍之介さんがいた。
「りゅ…!」
嬉しくて大きな声で名前を呼ぼうとしたけど
龍之介さんがしー。
っと、ポーズをとったので慌てて口を閉じる。
龍之介さんが静かに近づいてきて
急いで手を拘束してる紐を緩めようとする。
そんな中、男たちは
「おい、しっかりしろ!」
「あとはお前に任せた…あぁ…」
「おいいいいい!!!
再起不能か!?
再起不能なのか!?」
「あぁ、きっと俺はもう、なにも見ても反応しなくなる」
「うぉぉぉぉぉぉ!!!!
そんなぁぁぁぁ」
「男にとって命の次に大切なものなのに…。」
「あ、あぁ…」
「死にそうか!?
いっそ、死んじまった方がいいんじゃ…!?」
なんて会話をしてる。
その会話が終わりかけた頃、
手の紐がとけた私は龍之介さんに付いて
その場を逃げ出した。